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交通事故が原因によるPTSDは後遺障害として認められる?

交通事故によってPTSDを発症してしまった際にも、後遺障害認定を受けられるのかというご質問をいただくことがあります。
本ページでは、後遺障害とは何か、PTSDの定義や後遺障害が認められるかについて解説をしていきます。

 

◆後遺障害とは
後遺障害とは、怪我の治療が終わった後に、怪我が治癒してもなお、身体に残っている障害のことを指します。
後遺障害によって慰謝料を請求するためには、後遺障害等級の認定を得る必要があります。

 

後遺障害等級は1級から14級までとなっており、症状や残った障害の重さによって等級が分けられており、数字が小さくなるほど重い障害、症状が残ったということになります。

 

後遺障害の慰謝料に関しては、等級ごとによって決められており、それぞれの等級に◯級×号とありますが、何号が適用されても慰謝料は同じ額となっています。

 

◆後遺障害認定を得るには
後遺障害等級の認定を得るためには、ある程度手順を踏まなければなりません。
具体的には以下のような流れとなっています。

 

①症状固定の診断を受けたら必要な書類を用意する
②「加害者側の任意保険会社」又は「加害者側の自賠責保険会社」に書類を提出する
③審査機関に書類が渡り、審査が行われる
④審査結果が通知される
⑤結果に納得いかなければ異議申し立てを行い、再審査を受ける

 

◆PTSDとは
PTSDとは「Post Traumatic Stress Disorder」の頭文字をとったものであり、日本語では「心的外傷後ストレス障害」といいます。

 

心的外傷とは、外的要因によって心が傷ついてしまうことを指します。
外的要因としての例は、いじめ、セクハラ、モラハラ、交通事故、DV、虐待などが挙げられます。

 

PTSDの症状は主に4つあります。
①フラッシュバック
フラッシュバックは、外的要因となった出来事の記憶がよみがえる状態を指します。

 

②過覚醒
ストレスによる自律神経の乱れから、不眠や動悸、集中力の低下といった症状を招きます。

 

③回避行動
PTSDの原因となった外的要因に関連するものを執拗に避けたり、重要な部分が思い出せなくなるという症状です。

 

④躁鬱状態
感情の起伏が激しくなり、怒る、泣く、落ち着きがなくなるといった状態が普通の状態と交互に発生するという症状です。

 

◆PTSDの後遺障害等級
PTSDの後遺障害等級は9級10号、12級相当、14級相当があげられます。
以下でそれぞれ詳しく解説をしていきます。

 

・9級10号
通常の労務に服することはできるが、非器質性精神障害のため、就労可能な職種が相当な程度に制限されるもの

 

PTSDを発症された方の中には、専業主婦などで就労されていないという方もいらっしゃいますが、就労者であっても、就労者以外であっても、次のいずれかが欠如していることが要件となります。
(b)仕事・生活に積極性、関心をもつこと
(c)通勤・勤務時間を厳守できること
(d)通常の就労が可能、通常の集中力、持続力をもって業務を遂行できること
(e)他人との意思疎通を図れること
(f)対人関係を構築できること、協調性があること
(g)職場における危険から身を守れること
(h)職務上のストレス、トラブルにも適切に対処できること

 

または、上記に加えて、
(a)食事、入浴、洗面など身辺事項について適切に行うことができるか
を含めた、4つ以上の項目について、助言や援助が必要とされることが要件となります。

 

・12級相当
通常の労務に服することはできるが、非器質性精神障害のため、多少の障害を残すもの

 

12級では上記の(a)〜(h)のうち、4項目以上で、時折助言や援助が必要と判断されることが要件となっています。

 

・14級相当
通常の労務に服することはできるが、非器質性精神障害のため、軽微な障害を残すもの

 

14級では上記の(a)〜(h)のうち、1項目以上で、時折助言や援助が必要と判断されることが要件となっています。

 

◆PTSDによる後遺障害認定を受ける上で注意すべき点
PTSDは発症した時期の起点の判断が非常に曖昧なものとなっており、かつ、交通事故からある程度の期間が経過してから発症することが多くなっています。

 

そのため、PTSDが交通事故を原因とするものなのか、それ以外の出来事が原因となっているのかという、交通事故とPTSDの因果関係の判断が難しくなっています。

 

そこで、PTSDを発症した場合には、交通事故との因果関係を立証できるかがポイントとなります。

 

PTSDを発症した場合には、速やかに心療内科などの病院を受診し、継続的な治療を受けることが、後遺障害認定を受けるためのポイントとなります。

 

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君塚 洋(きみづか よう)

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